春の自然観察会:雫石町国見スキーリゾート計画反対運動を振り返る

 約30年前、雫石町国見温泉近くの山域で「国見スキーリゾート計画」が報道されました。その直後に町民、関係者の反対運動が強くなり、結局その開発は中止となりました。今回の春の自然観察会では、昨年に続きこの地域の今を見てきました。開発が断念された区域には、林野庁により「奥羽山脈緑の回廊」の設定を示す看板が放置されていました。 一昨年の秋の自然観察会で観察した「葛根田川・玉川源流部森林生態系保護地域」(1991年4月設定)につなげて2000年度に「奥羽山脈緑の回廊」にこの地域が設定されていることもわかりました。国が森林生態系保護、生物多様性の保全に舵をきった地域に、なぜスキーリゾート計画が立ち上がり、とん挫したか興味深い話を聞くこともできました。また、かつての林道が瞬く間にササ、カンバなどに覆われていく様子に、自然の回復力の強さを感じました。

 

(参考)

 国見スキーリゾート計画の経緯

1989年以前 林野庁が「ブナ・はぐくみの森」に設定した模様 

1991年4月1日 林野庁が「葛根田川・玉川源流部森林生態系保護地域」を設定(森林生態系保護地域全国第1号)

1991年10月 湯森山南東斜面に「国見スキーリゾート計画」が報道

      総事業費500億円を投じて、直線距離6㎞のゲレンデとホテル2棟、別荘、スノーモービルランドを構想

この報道を契機に、「八幡平葛根田ブナ原生林を守る会」が中心となって反対運動を展開。10,727名の反対署名を提出。 

1993年8月31日 雫石町が国見スキー場計画に参画し、第三セクターで推進することを表明

1996年10月25日 雫石町が第三セクター雫石国見開発を解散し、国見スキー場開発に終止符が打たれる

2000年度 林野庁が「奥羽山脈緑の回廊」を設定