縦走路/2019年2月「各駅停車の旅」
年末年始に広島の厳島(いつくしま)神社に行ってきました。 高校生の息子との鉄道旅で、行きは青春18きっぷを使って普通列車(盛岡~広島)、帰りは普通列車(広 島~岡山)・寝台特急(岡山~東京)・新幹線(東京~盛岡)を使いました。行きは、盛岡を12 月30日の 朝5時に出発し静岡に1泊、大晦日31日の夜7時に広島に着きました。2日間で乗換14回でした。
普通列車なので各駅に停車しますが、そのたびに、地元の人が乗り降りし、その土地の言葉や匂いを感じる のが各駅停車の旅の魅力です。盛岡の早朝の電車では朝帰りの若者が、一関からは仙台へ買い物に行く若い 女性が、仙台からは福島に帰省する60代ぐらいの男性が、宇都宮からは東京に行く家族連れが、東京では 勤め帰りのサラリーマンが、それぞれ乗っては降りていきました。静岡から広島までは、大晦日ということ もあり、ほとんどが帰省客や旅行客でした。
自分たちと同じように青春18きっぷで旅をしている人は少な くて、その半分ぐらいは東南アジア系の若者グループでした。みんな楽しそうに旅をしていました。そうし た風景を見ながら、電車に揺られていると、自分が長回しワンカットの映画の中にいるような感覚になりま す。旅をしているときは、電車に乗っている時間がすごく長く、ムダな時間を過ごしているように感じます が、家に帰ってくると不思議な充実感がある。これって山登りと同じ感覚だと思いました。
山登りも、登っ ているときは何でこんなことしているんだろうと思いますが、家に帰ってくると充実感があり、次はどこの 山に行こうかと考えている自分がいます。自分の足でゆっくり歩きながら、風景を見て、匂いを感じること ができる山登りは究極の旅の形かもしれません。いつか、どこかの長い縦走路をザックひとつで旅したいと 思っています。
さて、旅の目的である厳島神社へのお参りをすませ、無事盛岡に帰って来て、息子に「また 各駅停車の旅をやる?」と聞いたところ、「新幹線がいい。」との答えでした。
№363 小野寺健一