縦走路/2021年2月「変化」
2010年3月に創立25周年に向けての思いを縦走路に書いた。読み返してみると、10年経った今も同じようなことを思っている。当時と違うのは、専門部が教育遭対部から会報部に変わったこと。時間の許す方がおらず、部長を務めさせていただき2年近くになる。月1回発行の会報『あかげら』は現在A4サイズで20ページ弱だが、2010年3月号はB5サイズではあるが49ページだった。その頃の『あかげら』は、山行報告以外にも本の紹介、山の料理のレシピ、道具の話、エッセイなど様々な原稿が寄せられていた。それらを読んで楽しみ、元気をもらったりしていた。
山岳会に入会する理由は人それぞれと思うが、共通することは単独ではなく他人と行動(活動)することを選んだということ。情報があふれている現在、直接人から道や技術を学んだりしなくても山を歩く事はできる。単独で歩いたほうが自分のペースで歩き、団体としての守るべきルールもないので楽かもしれない。でもひとりは淋しかったり、不安だったりするし、人と歩くのは面倒でも楽しい。山はコンビニもストーブもなければ、救急車も来ない。そんな中で行動を共にするのだから、仲間のことは知っていたほうがいいし、自分の性格も良くも悪くもわかっていてもらいたい。『あかげら』は会員の情報共有のためだけではなく、原稿を通してその人を知ることにも役立ってきたと思っている。
そんな『あかげら』が30年以上発行を続けてこられたのは、これまで会報部に在籍した方々による活動の継続と歴代の部長の“思い”によるところが大きいと思っている。会報に限ったことではないが、物事は良いと思うことは続けていきたいと願う。より良い方向への変化は躊躇なく進められるが、良い方向でもないが変えざるを得ないことになると気が進まない。
昨年からのコロナウイルスの流行で、私達の生活はがらりと変わった。自分たちの身を守るためなので、否応なしに変わっていった。こういう変化もあるのだなぁ、と考えさせられる。できる限り良いと思うものを…と思い活動しているが、変化と向きあわなくてはならない時もあるかもしれない。
4月から迎える35周年。じっくり考えて活動してみようと思う。
№294 松田 希